Vol. XIII, No. 65/8・26・07

1990年代の終わりまで三越のデパ地下ほど楽しい場所は無かった。 あれほど豊富な食べ物が、廉価で買えたのだ。私は著名なユダヤ人教授たちを 意識して連れて行った。いろんな食べ物のサンプルを唯で食べさせるのだ。東 欧のオープンマーケットの高級版だ。そのデパ地下を破壊したのが三越だ。鯖 の味噌煮が一切れ600円になった。庶民の魚サバの値段がスーパーの二倍だ。 コストの半分は無用なパッケージングだ。三越は何重ものプラスチックに包み 、欲しくもないドライアイスを入れ、手提げ袋を「無料」でくれる。更に各カ ウンターには数人の女性が張り付いている。人海戦術だ。三越は、運転手つき のベンツに乗る階級の店になった。セビロは最低十万円から。青山やユニクロ は「品格」のない拝金主義であり、格式高い三越では十万円以下の背広は売ら ないのだ。三越本店の二階の全部は紳士服だ。三越ブランドというのは無い。 ずらっと並ぶのは30ほどの外国ブランドだけだ。つまり本店の目玉フローアは 賃貸料を稼ぐ。伊勢丹のように自分のブランドは売らない。


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