靖国神社と皇室典範をイデオロギーに捉われずに考えています。
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片岡鉄哉 略歴 1933年、栃木県に生まれ。元スタンフォード大学フーバー研究所研究員。早稲田大学政経学部卒業。シカゴ大学大学院政治学部博士課程修了。 1969年ニューヨーク州立大学政治学部助教授、1982年筑波大学歴史・人類学系教授に就任。1984年スミソニアン・インステテューション Woodrow Wilson Center fellow
昭和天皇が、東条英機の靖国合祀に対して「不快感」を示されたと宮内庁長官がメモしていた。この事実が公開されてから、陛下の単なる「不快感」に懐疑をはさむ人士があるようだ。しかしこの事実の背後には、日本国家のとった重大な機密決定が隠されていて、後者は公開できないものと見える。日本政府は「国体」、つまり万世一系の天皇制を守るためにポツダム宣言を受諾したのであり、靖国神社も国会も、本決定に縛られるものと私は見ている。
SCAP GHQが戦争犯罪容疑者の逮捕を開始した時点で、マッカーサーと日本政府は重大な決定を極秘で下すことを迫られた。それは昭和天皇に immunity(無罪)の地位を与えるために、容疑者の尋問や、答弁が、陛下に対する容疑を示唆したり、強化してはならないという点だった。
これにはキーナン検察官も同意しており、或る日、東条が「陛下の同意なくして我々は如何なる決定も下せなかった」と証言した時に、キーナンが木戸を通じて、巣鴨の東条に注意するように再度促したという。
陛下を庇う決定には、近衛文麿、吉田茂たちが参画していたとダワーは指摘している。[1]
上記の日米合意に対して、その内容が正義に反するものだという議論は可能かもしれない。しかし、この決定を蒸し返すことを望む者は、この日米合意が存在していたという事実をかみしめるべきであろう。「国会が無罪とさえ決議すれば、それに反する全ての前例は無効だ。誰でも無罪だ」という靖国特攻隊の理論は通用しないだろう。