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片岡鉄哉 略歴 1933年、栃木県に生まれ。元スタンフォード大学フーバー研究所研究員。早稲田大学政経学部卒業。シカゴ大学大学院政治学部博士課程修了。 1969年ニューヨーク州立大学政治学部助教授、1982年筑波大学歴史・人類学系教授に就任。1984年スミソニアン・インステテューション Woodrow Wilson Center fellow
日本を永久に米中の軍事管理のもとに置くという構想が、最新のフォーリンアフェアズ誌において提案されている。著者はリチャード・ハース、米国外交評議会の理事長、つまりこの雑誌を発行する主体である。彼は最近までブッシュ政権の国務省で政策企画部長だった。
本論文は、表向きは北朝鮮とイランの持つ核兵器を、如何にして処理するかと言う問題に対する提案である。ハースは、第二次大戦における日独征服から説き始めて、ソ連の封じ込め・崩壊、イラク占領などの実例を比較する。
日独征服が政権転換(regime change)の実例であり、ソ連の封じ込めが政権の段階的変革(regime evolution)の前例だとする。そして、米国はイラク攻撃型の先制攻撃を北朝鮮とイランに適用することは不可能だとして、段階的変革つまり封じ込めを推薦する。
北朝鮮を封じ込めて、段階的に核抜きにする手段として、米中のcondominiumを提示する。コンドミニアムとは二大国による共同制覇という意味である。この概念は私が使っているもので、著者自身が使った表現ではない。
北朝鮮を、封じ込めという手段で核抜きにするには、どうしても米中の緊密な協力が不可欠であり、日本、韓国、台湾も同時に核抜きにすることが不可欠だというのだ。
本文
「このような外交的仕事をするについて中国の役割は不可欠だ。北京の北朝鮮に対する影響力は限定されてはいるが、他の如何なる国家の影響力より多大である。中国は北朝鮮へのエネルギーの殆どを提供し、主な貿易パートナーである。北京はある程度の圧力を加える用意があるが、断固と押し付けることを潔しとしない。これは恐らく金正日政権が崩壊し始めると、戦争となり、難民が中国に流入するからであろう。結果として、中国は北朝鮮問題を解決するよりは蓋をしておくことに興味を見せてきた。
「平壌政権が核兵器計画を放棄するように、ワシントンは北京が持つ影響力の全部を使うように説得するべきである。その目的を遂行するために、中国指導者は、北朝鮮問題は、中国が合衆国の本当の戦略的パートナーとなるか否かの試金石であることを理解すべきだ。更に、合衆国政府が持つ北東アジアにおける長期的思考に関して、中国の指導者たちに保証を与えるのも助けになるだろう。この長期的思考とは、われわれが、この地域において如何なる新規の核保有国家が出現することを望んでいないことだ。たとえ、それが日本、統一された朝鮮、台湾であろうとも」
解説
ハースが提案する米中コンドミニアムは、平壌核抜きのためには、中国の協力が不可欠であり、それを手に入れるために中国に米中パートナーシップという地位を与えようというものだ。
これで中国はアメリカという保安官の代理になる。アジア全体は中国の管理に委譲される。日本はアメリカの戦略的パートナーとしては全く役に立たない。更に、最近の十五年で日本は韓国、北朝鮮、台湾と同列の三等国家に転落している。だから日本を永遠に非武装化して、米中の共同管理の下に置くべきだというのだ。
私は、米中デタントの危険について、何度も何度も警鐘を鳴らしてきた。朝日新聞や革新がこの危険に無知なのは仕方がないとしよう。私に理解できないのは、日本の保守派が、敗戦を恨むあまりに、今にいたっても反米、怨米の拒絶症に囚われていることだ。
ハースは、「日本人は永遠にアメリカを恨むのだから核武装を許してはならない」というのだ。・・・・・・
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